〈中区・栄〉デメルのピスタチオクッキーは鼻で余韻を楽しむおやつ

ゆずれないおやつの話_vol 7〉

〈ゆずれないおやつの話〉では筆者の人生において欠かせないと思うおやつについて勝手な尺度で語ります。今回は《デメル(DEMEL)》の「ピスタチオクッキー」の話。


デメル(DEMEL)にピスタチオの完成形を見た。学生の頃『パルプ・フィクション』や『猫が行方不明』など90年代の外国映画や村上春樹の小説にに出てくるバーやダイナーの雰囲気に憧れて初めてピスタチオを買って食べた。初めはその美味しさがよく分からず、しかし皮を割って食べる姿には大人然とした不思議な説得力があるような気がする、という阿呆な理由で食べ続けた結果いつからか好物になっていた。今はピスタチオ味のお菓子にまで目がない。

しかし『ピスタチオ味』と名乗るお菓子をいくつか食べてみればピスタチオがいかに再現の難しいお菓子であるかということが分かる。甘すぎればアボガドっぽくなるし、しょっぱすぎれば枝豆っぽくなってしまう。なんだかんだピスタチオ味の新商品を見かければ買ってしまうのだけれどリピートしたいと思えるような商品はそうそう無い。けれどデメルのピスタチオクッキーにはピスタチオを超えるピスタチオの美味しさがあった。

《デメル(DEMEL)》はオーストリアの首都ウィーンで長く愛される菓子店。

【ピスタチオクッキー/8枚入り(¥1,080)】

味と香りはセットで認識される。だからこそピスタチオをお菓子に変換する上でこの鼻に抜けるピスタチオ独特のフルーティな香りは欠かせない。加えてクッキー生地のほどよい弾力と歯触りもピスタチをのそれに近い。デメルのクッキーは限りなくピスタチオに近くその上で焼菓子としてのクオリティが高いので限りなくピスタチオでありながらピスタチオにはない『おやつ』としてのピスタチオを堪能することができる。

内柄のあるパッケージは高級感のあるしっかりとした素材で贈り物にもおあつらえ向き。

ピスタチオは総合芸術的的な食材だ。噛み砕いた時の旨味、鼻に抜ける香り、こっくりとした後味全てが揃うことでようやくピスタチオの味になる。味のクセもなく濃い味わいでもないのでひとつでも違ってしまうと、何か物足りないような、ともすれば別の食べ物にすら感じてしまう。そんな絶妙なバランスを別の素材に置き換え再現する難しさは図りしれない。デメルのピスタチオクッキーは限りなくその味を再現しながらも別の角度からピスタチオに光を当てピスタチオの新しい可能性を見せてくれる。

 

デメル(DEMEL)松坂屋名古屋店

・10:00~20:00
・地下鉄矢場町駅徒歩1分
・不定休(松坂屋名古屋店 本館に準ずる)

▷ 愛知県名古屋市中区栄3-16-1
松坂屋名古屋店 本館 B1F

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